栄養失調
食生活

一人暮らしで栄養失調にならないためには

一人暮らしをしていると毎日の栄養が不足しがちです。
バランスのとれた食事を摂ることが難しくなるため、栄養失調の原因となってしまう場合があります。
ここでは、一人暮らしの栄養失調のリスクについて詳しく見ていき、その克服方法を提案します。

栄養失調とは

食事から摂取する栄養素が不足したり、過剰になったりすることで、身体や精神の健康に悪影響を及ぼす状態を指します。
栄養失調といえば、食糧事情の悪かった戦時中を思い浮かべるかもしれません。
しかし、現代でも偏った食事が引き金となって起こす新型栄養失調が懸念されています。
新型栄養失調とは、食事によるカロリーは足りているのにも関わらず、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの身体に必要な栄養素が不足している状態です。
基礎代謝や免疫力の低下につながり、血管や細胞の老化につながりやすくなります。

新型栄養失調の原因

原因としては、自己流の食事制限のダイエットをしたり、ファストフードやコンビニ弁当などに頼った食生活などがあります。
また、お年寄りの人は噛む力が弱くなることで肉や魚を食べる機会が減ることもあるので、たんぱく質が不足しがちだとされています 。

炭水化物と脂質の過剰摂取

一人暮らしの場合、インスタント食品やファストフード、丼物中心の食生活になりがちです。
時間をかけず、手間なく食べられますが、炭水化物と脂質が過剰摂取になりやすく、生活習慣病を招いてしまいます。

塩分の過剰摂取

日本人の塩分摂取量は男性が1日8.0g未満、女性が7.0g未満です。
しかし、実際の摂取量は男女ともに10.0g前後に推移しています。
これはしょうゆや味噌、ソースなどの調味料によるものです。減塩も意識しましょう。

ビタミン・ミネラル・食物繊維の不足

野菜からとれるビタミン・ミネラル・食物繊維が不足しがちです。
一日における野菜の目標摂取量は350gとされていますので、意識して食べるようにしましょう。

タンパク質不足

過剰なダイエットや極端な健康志向により、肉や魚、大豆食品などを敬遠しているとタンパク質が不足してしまいます。
野菜だけの食事で済ませようとする若い女性や、食の細い高齢者に多い傾向です。

新型栄養失調が体に及ぼす影響

新型栄養失調になると、身体に必要な栄養素が不足してさまざまな症状を引き起こしてしまいます。
代表的な新型栄養失調の症状として、免疫力や運動機能の低下などがあげられます。
そして、免疫力が低下すると、肌荒れしやすくなったり、風邪を引きやすくなってしまいます。
運動機能が低下すると、転倒しやすくなったり、体力の低下にも繋がります。

新型栄養失調を放っておくと、栄養不足による欠乏症が起こりやすくなります。
例えば、たんぱく質不足により筋肉が衰え、場合によっては転倒や骨折につながる恐れがあります。
野菜不足は、便秘や体調不良などを引き起こす原因となります。
また女性の場合、痩せすぎてしまうと、将来妊娠した際に低出生体重児の割合が増加する危険性もあります。

どんな人がなりやすい?

どのような人がなりやすいかというと、特に若い女性や中高年の男性、高齢者が新型栄養失調になりやすい傾向にあります。
若い女性は必要がないのにもかかわらずダイエットを繰り返す人が多いといわれています。
「○○抜きダイエット」は、たんぱく質が不足しやすく、その影響で筋肉が落ちて代謝が低下したり、貧血や肌荒れの症状があらわれやすくなったりします。
中高年の男性は、食事のバランスを特に意識し、丼物や麺類を食べるとき野菜の小鉢を一品追加するなどの工夫ができるといいでしょう。
また、太りすぎも痩せすぎもよくありません。適正体重を維持できるように心がけてください。

栄養失調を予防するには

栄養バランスの良い食生活を心がけることが大切です。
栄養バランスを整えるためには、普段から色々な食材を少しずつ食べることが大切です。
毎日を健康に過ごすために、日々の食生活を見直して、できるところから改善していきましょう。

一日に必要なエネルギーと栄養素を摂取すること

エネルギーは体の活動に必要な燃料であり、栄養素は体の機能を維持するために必要な物質です。
エネルギーと栄養素のバランスが崩れると、体重や健康に影響が出ます。

食事のバランスを考えること

食事は、主食、主菜、副菜、果物や乳製品などの五大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)を含む食品から構成されます。
五大栄養素はそれぞれが異なる役割を果たすので、偏りなく摂取することが大切です。
また、加工食品や外食などの塩分や油分の多い食品は控えめにしましょう

食事の回数や量を調整すること

食事の回数や量は、個人の体質や生活習慣に合わせて決める必要があります。
一般的には、一日三食を基本とし、朝食はしっかり、昼食は適度に、夕食は控えめにすることが推奨されます。
また、間食は必要に応じて行い、過度な摂取を避けることが望ましいです。

食事の質を高めること

食事の質を高めるためには、旬の食材や地産地消の食材を選ぶことが有効です。旬の食材は栄養価が高く、風味や色彩も豊かです。
地産地消の食材は新鮮で安全であり、地域の特色や文化も楽しむことができます。

食事を楽しむこと

食事を楽しむことは、心身の健康にも良い影響を与えます。食事を楽しむためには、味や香りだけでなく、見た目や音も意識することが大切です。
また、食事中はテレビやスマホなどの電子機器を遠ざけて、自分の感覚に集中することが望ましいです。

栄養失調にならないために摂りたい食材

栄養失調にならないためには、栄養素の高い食品を適切に摂取することが重要です。栄養素の高い食品とは、ビタミン、ミネラル、タンパク質、炭水化物、脂質などの必須栄養素を含む食品のことです。
これらの栄養素は、身体の機能を維持したり、免疫力を高めたり、エネルギーを生み出したりする役割を果たします。栄養素の高い食品の例としては、以下のようなものがあります。

野菜

ビタミンやミネラルが豊富で、食物繊維も含まれます。特に緑黄色野菜や深紅色野菜は抗酸化作用が高く、老化防止やがん予防に効果的です。
緑黄色野菜には、ほうれん草やブロッコリー、ニンジンやトマトなどがあります。下準備が不要な冷凍野菜を使ってもいいでしょう。

果物

ビタミンやミネラルだけでなく、フラボノイドやポリフェノールなどの植物性成分が含まれます。これらの成分は血管を強化したり、血圧や血糖値を調整したりする効果があります。
例えば、りんごやぶどう、柑橘類やイチゴなどがあります。

穀物

炭水化物の主な供給源であり、エネルギー源となります。また、ビタミンB群や食物繊維も含まれます。特に全粒穀物は血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げたりする効果があります。
太るといった理由で避ける人もいますが、例えばご飯1杯のカロリーは約240キロカロリーで、菓子パンに比べれば低カロリーです。
料理をしないという人でも炊飯器でお米を炊くだけなら簡単にできます。まとめて炊いて冷凍しておくと食べたいときにレンジで解凍して食べられます。

乳製品

カルシウムやタンパク質が豊富であり、骨や歯の健康に欠かせません。また、乳酸菌が含まれるものは腸内環境を改善したり、免疫力を高めたりする効果があります。
例えば、牛乳やチーズ、ヨーグルトや発酵乳などがあります。

タンパク質や鉄分が豊富であり、筋肉や血液の生成に必要です。また、ビタミンB12や亜鉛なども含まれます。特に赤身肉は脂質が少なくて低カロリーであります。

タンパク質だけでなく、オメガ3脂肪酸と呼ばれる不飽和脂肪酸が含まれます。これらの脂肪酸は血液をサラサラにしたり、脳機能を向上させたりする効果があります。
例えば、サバやサーモン、マグロやイワシなどがあります。
面倒な人は缶詰がおすすめです。最近ではスーパーやコンビニでも魚を使った商品が売られていますので、食事に取り入れてみましょう。

タンパク質の質が高くて消化吸収が良い食品です。また、コレステロールやレシチンなども含まれます。これらの成分は神経細胞の保護や記憶力の向上に役立ちます。
価格面でも手に入れやすく、食べ方もさまざまであるため、一人暮らしの味方といえる食材です。1日1個を目安に取り入れましょう。

豆類

植物性タンパク質や食物繊維が豊富であり、肉類の代用としても利用できます。また、イソフラボンやサポニンなどの植物性成分も含まれます。
これらの成分は女性ホルモンのバランスを整えたり、抗酸化作用を持ったりする効果があります。
豆腐や納豆など安価で手に入れやすいものが多く、一人暮らしでも手軽に取り入れられますよ。

海藻

海藻類は豊富な栄養素を含み、ミネラルや食物繊維などを多く含みます。カロリーも低いためダイエット中にも最適です。
海苔やひじきなど一品取り入れてみましょう。わかめはインスタントの味噌汁も手軽です。

これらの食品をバランスよく組み合わせて食事に取り入れることで、栄養失調を予防することができます。
また、栄養失調は精神的な影響も及ぼします。気分が落ち込んだり、不安やイライラを感じたりすることもあります。
そのため、栄養失調にならないためには、栄養素の高い食品を摂ることが大切です。
しかし、栄養素の高い食品だけを摂ることが良いというわけではありません。過剰に摂ると、カロリーや脂質の過剰摂取につながり、肥満や動脈硬化などのリスクが高まります。
また、栄養素の種類や量に偏りがあると、栄養バランスが崩れてしまいます。そのため、栄養素の高い食品を摂る際には、適量や適度を心がけることも必要です。
栄養失調にならないためには、栄養素の高い食品を適切に摂取することが重要ですが、それだけでは十分ではありません。
運動や睡眠などの生活習慣も健康に影響します。健康的な生活習慣を心がけることで、栄養失調を予防するだけでなく、健康を向上させることができます。

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